血管の柔軟性アップに「エラスチン」

高血圧解消には血管の柔軟性アップが肝心で、血管を作る弾力線維「エラスチン」の補給が急務。


■血管に柔軟性があれば、高血圧を防げる

高血圧を招く要因には、塩分の摂り過ぎ、過労、ストレス、冷えなどさまざまなものが挙げられますが、 その中でも関係が特に深いのが、加齢に伴う血管の柔軟性の低下でしょう。 全身に張り巡らされた血管は、心臓から送り出される血液の圧力の強さに合わせて、伸び縮みを繰り返しています。 このとき、血管に柔軟性や弾力性がなくなったらどうなるでしょうか。

血管がしなやかでやわらかければ、ゴムのように伸びて圧力を吸収するため、血圧の上昇が抑えられます。 ところが、血管が硬くなると圧力を吸収できないため、血圧が高くなってしまうのです。 この状態が続けば、血液の圧力に耐え切れず、ついに血管が破れて脳出血やくも膜下出血などの重大な病気を招きかねません。 また、血管に柔軟性がなくなって、動脈硬化が進行すれば、脳梗塞や心筋梗塞を招きやすくなってしまいます。

このように、血管にとって柔軟性や弾力性は極めて大切な要素で、血管の柔軟性や弾力性を保てれば、 高血圧や脳卒中などの重大な病気にもかかりにくくなると考えられます。 実は最近、失われていく血管の柔軟性や弾力性を取り戻し血管を若々しく保つ重要成分として、 『エラスチン』が大きな注目を集めています。 エラスチンは、動物の血管をはじめ皮膚、心臓、肺、靭帯(骨と骨をつなぐ丈夫な線維組織)などに多く含まれる線維タンパク質で、 もう一つの線維タンパク質であるコラーゲンと絡み合って、これらの臓器や組織の柔軟性と弾力性を生み出すもととなっています。 肌をつまんで引っ張った後に皮膚が元に戻るのも、血管や肺が拡張と収縮を繰り返すことができるのも、エラスチンのおかげです。


■血管の柔軟性はエラスチンの量で決まる

では、エラスチンはどのような形で血管や皮膚などの組織に含まれているのでしょうか。 血管では、血管壁を形作る内膜・中膜・外膜の3つの層のうち、血管の伸び縮みを担う中膜に含まれており、 皮膚では、表皮と皮下組織の間にあって張りを保つ真皮に特に多く含まれています。 一般に、「血管や皮膚の柔軟性や弾力性を保つためには、コラーゲンが必要」とよくいわれます。 もちろん、コラーゲンは血管や皮膚にとって欠かせない成分ですが、柔軟性や弾力性というよりも、 むしろ強さや硬さ(強靭性)を生み出しています。 血管や皮膚の弾力性や伸縮性を生み出すには、エラスチンがとても重要なのです。

もう少しわかりやすく説明しましょう。
コラーゲンはよく太い針金、エラスチンはゴムやバネに例えられます。 太い針金にあたるコラーゲンは、臓器や組織を形作り、その形を維持する役割を果たします。 一方ゴムやバネに例えられるエラスチンはコラーゲンに絡みついて互いを結び付け血管や真皮の伸縮を助けているのです。 つまり、心臓から押し出される血液の圧力によって、血管が破れることなく柔軟に伸び縮みできるのは、 そこに含まれるエラスチンのおかげなのです。もっと言えば、皮膚の張りが保たれるのも、関節が柔軟に動かせるのも、 エラスチンがあってこそといっても、過言ではありません。

ちなみに、エラスチンが含まれる割合は、体の部位によって大きく異なり、柔軟性や弾力性が求められる部位に特に多く含まれています。 具体的には、皮膚の真皮で1〜5%、肺で約30%ですが、血管(動脈)では約50%、靭帯では80%にも及びます。