薬と二次性高血圧

の服用は高血圧治療の大切な柱です。 しかし、副作用を心配して服薬をやめてしまうなど、間違った認識を持つ人もいます。 薬を飲む意味を正しく理解して、血圧の管理に努めましょう。


■薬を飲む本当の意味

血圧を下げるのは通過点。脳・心臓・腎臓を守るために飲む。

高血圧は簡単に診断でき、今では効果の高い薬がたくさん出ています。しかし、患者数は減っていないというのが現状です。 この現状の大きな理由の1つとして、患者さん一人一人が高血圧の薬についてよく知らないのではないか、ということが指摘されています。 保健士や栄養士で構成される団体が行ったアンケートで、なぜ薬を中断したのかを聞いたところ、「血圧が下がったので、もう必要ないと思った」 「症状がなかったから」などの回答がありました。この回答からも、高血圧の薬を飲む意味について正確な認識が浸透していないことがうかがえます。


●血圧を下げることがゴールではない

多くの人は「高血圧の薬を飲むのは、血圧を下げるため」と考えているかもしれません。しかし、血圧を下げるのはあくまでも通過点です。 高血圧の薬を飲む本当の目的は、高血圧による血管のダメージを防ぎ、脳や心臓、腎臓という大切な臓器を守ることにあります。 これらの重要な臓器では、太い血管から急に細い血管に枝分かれする構造になっています。 そのため、太い血管の中の圧力がそのまま細い血管にかかります。細い血管に高い血圧がかかり続けると障害されやすくなります。 脳の血管がダメージを受けると、脳卒中や認知症に、心臓の血管がダメージを受けると狭心症や心筋梗塞に、 腎臓の血管がダメージを受けると慢性腎不全などの病気に繋がります。 血圧の薬を「血圧が下がったから」「症状がないから」と自己判断でやめてしまうと、再び血圧が上がって、さまざまな臓器に負担がかかってしまいます。 「血圧の薬は一生飲む必要がある」とされるのはこのためです。 ただし、軽症の場合には、減塩に取り組んだり、日常生活に運動を取り入れるなど生活習慣を改善することで、薬をやめられる可能性もあります。


■高血圧の薬

血管を広げるタイプと血液の量を減らすタイプがある

高血圧の薬には、血管を広げて血圧を下げるタイプと、血液の量を減らして血圧を下げるタイプがあります。 血管を広げる薬には、カルシウム拮抗薬、ARB、ACE阻害薬が、血液の量を減らす薬には利尿薬があります。 これらの薬は、まず1種類を少量から使い始めるのが一般的です。血圧の数値や他の病気を考慮して、作用の仕方が異なる薬を2〜3種類併用することもあります。 初めから2種類の薬の合剤を服用する場合もあります。

●重大な副作用が出ることは少ない

他の病気の薬と同様に、高血圧の薬にも副作用はあります。 しかし、現在使われている高血圧の薬では、問題になるような副作用が出ることはほとんどありません。 ただし、もし気になる症状や不快な症状が現れてきたら、自己判断で服用をやめたりはせずに、必ず担当医に相談してください。


■血圧が下がらないとき

他の病気が原因となる二次性高血圧を疑う

減塩や運動に努め、薬を3種類使って正しく薬物療法を行っても、血圧が下がらない場合は二次性高血圧の可能性があります。 二次性高血圧とは、生活習慣や遺伝的な要因とは関係なく、他の病気が原因で起こる高血圧です。 高血圧全体の約1〜2割を占めると考えられています。 代表的なものに、ナトリウムを貯蓄する作用のあるホルモンのアルドステロンが過剰になる原発性アルドステロン症があります。 多くはありませんが、ステロイドホルモンの一種であるコルチゾールが過剰になるクッシング症候群、 カテコラミンなどが過剰になる褐色細胞腫もあります。 これらは、副腎という小さな臓器に腫瘍ができたり、肥大化したりすることによって起こる病気で、血圧を上げるホルモンが過剰に分泌されます。 また、腎臓の病気として、腎臓の動脈が狭くなる腎血管性高血圧という病気も二次性高血圧を起こします。 どの病気が原因の場合も、元の病気が治れば血圧も自然と下がります。