食塩感受性の人と食塩非感受性の人

高血圧の改善には、減塩が大切なことは確かですが、減塩すれば誰でも血圧が下がるというのは誤りです。 人間の体質には、血圧が食塩に敏感に反応する「食塩感受性」と、反応しにくい「食塩非感受性」という2つのタイプがあります。 食塩感受性のある人は、腎臓の働きに異常が生じ、塩分をうまく排泄できなくなっているため、 ナトリウムが体内に蓄積され、血圧が上昇するのですが、食塩非感受性の人は腎臓の働きがよく、 体内の余分なナトリウムは速やかに排泄されるため、食塩を摂っても血圧がほとんど上昇しないのです。 したがって、食塩非感受性の人が減塩食を厳しく行っても、高血圧を改善することはできません。 また、塩分の摂取と排出のバランスが取れているので、高血圧治療薬の利尿薬を服用しても、あまり血圧が下がりません。


■食塩感受性の人と食塩非感受性の人

●食塩感受性の人

腎臓でのナトリウムの排泄が滞る

食塩感受性の人に特徴的なのは、ナトリウムを排泄する腎臓の働きが衰えていることです。 腎臓の働きがいいなら、塩分を1日50g摂っても、必要のないナトリウムは腎臓で濾過されて速やかに尿として排泄されます。 ところが、食塩感受性のある人は、1日にたくさんの塩分を腎臓で処理することができなくなってしまいます。 そもそも、腎臓でのナトリウムの排泄には、一酸化窒素が重要な役割を果たしています。 腎臓でナトリウムを濾過しているのは、糸球体という器官で、この糸球体の働きを促すのが一酸化窒素です。 一酸化窒素は、塩分を摂取すると体内の酵素によって作り出されますが、食塩感受性のある人は、 体内でスムーズに一酸化窒素を作り出せなくなっています。 そのため、ナトリウムがうまく排泄できなくなり血圧が上がってしまうのです。

◆メタボリック症候群で食塩感受性も悪化


また、メタボリック症候群のある人も、食塩感受性に陥っている恐れがあります。 メタボリック症候群とは、内臓脂肪型肥満に加えて脂質異常症・高血圧・高血糖のいずれかを合併した状態のことです。 海外で行われた研究で、メタボリック症候群に陥っている人ほど、塩分を過剰摂取すると血圧の上昇しやすいことが確認されています。 さらに、糖尿病も食塩感受性と深く関わっていることが報告されています。 糖尿病の人は、血糖値を調節するホルモンであるインスリンの働きが悪化しています(インスリン抵抗性)。 食塩感受性の人は、食塩を過剰に摂ると、同時にインスリン抵抗性まで進んでしまうのです。

◆動脈硬化が重症化

食塩感受性で高血圧を起こしている人は、心肥大や心筋梗塞などの心臓病、動脈硬化、腎臓病、脳卒中などが 多発したり重症化したりする傾向があります。そのため、食塩感受性のある高血圧の人は、 高い血圧を低く保つために、減塩を心がけるのが何より大切です。 また、毎日の食事では、減塩に加えてミネラルの一種であるカリウムを多く摂るといいでしょう。 カリウムには、ナトリウムを体外に排泄する働きのあることが知られています。 実際に、食塩感受性のあるマウスにカリウムを与えると、腎臓や心臓などの内臓の障害が軽減するが研究で確認されているのです。 カリウムは野菜や果物に多く含まれ、特にバナナやリンゴ、パセリに豊富なので、 こうした食品を多く摂ることをお勧めします。