高血圧と糖尿病

糖尿病とは血糖値が高い状態が続くことで、様々な合併症を起こす病気です。 糖尿病と高血圧は、どちらも「インスリン抵抗性」という共通した背景があるため、 糖尿病と高血圧の両方を持つ人が多くみられ、合併すると、命にかかわる病気を起こす危険性が高まるので、 血糖・血圧とも、早期からきちんとコントロールすることが大切です。


■糖尿病とは?

血液中のブドウ糖の量が過剰になる病気

血液中の糖(ブドウ糖)は、脳や筋肉が活動する際のエネルギー源となる、大切な栄養素です。 血液中には、常にある程度の量の糖が含まれていますが、 その量が過剰になってしまった状態が「糖尿病」です。 食後には、食べ物が体内で分解されて、たくさんのブドウ糖ができ、一時的に血糖値が高くなります。 しかし、膵臓から「インスリン」というホルモンが分泌され、糖を脳や筋肉で利用したり、 余った糖をエネルギーとして脂肪細胞にため込むため、徐々に血糖値は下がってきます。

このように、血糖値は常に変動していますが、健康な時は一定の範囲内に収まっています。 ところが、糖尿病になると、この範囲を超えて、慢性的に血糖値の高い状態が続いてしまいます。 血糖値が高くなってしまうのは、インスリンが十分に効かなくなり、処理しきれなくなった糖が血液中に"だぶつく"ためです。 糖尿病が進むと、手足の神経や、目の網膜、腎臓の細い血管などが障害されます。 また、動脈硬化が進み、心筋梗塞や脳卒中を発症する危険性も高まります。


■高血圧と糖尿病

高血圧の人は糖尿病になりやすい

一般に、高血圧の人は糖尿病になりやすく、糖尿病の人は高血圧になりやすいといわれます。 これは「インスリン抵抗性」という共通した背景があるためです。

●インスリン抵抗性が血圧を上げる

インスリン抵抗性とは、簡単に言えば、インスリンの"効きの悪さ"のことです。 食後は血糖値が上がるため、膵臓からインスリンが多く分泌されます。 しかしインスリンの効きが悪く、血糖値がなかなか下がらないと、"インスリン不足だ"と判断されて、 より多くのインスリンが分泌されます。その結果、血液中に多量のインスリンがたまる「高インスリン血症」になります。 高インスリン血症になると、そのインスリンが交感神経を刺激することにより、血管が収縮して血圧が上がります。 さらに、腎臓がナトリウムをため込もうとするため、体内の水分量が増えて血圧が上がります。
インスリンは、糖だけでなく脂質の代謝にも関係しています。インスリン抵抗性があると、血管にコレステロールがたまりやすく、 動脈硬化も進みやすくなります。このことも血圧を上げる要因になります。


●糖尿病の危険因子

糖尿の多くは高血圧と同じく、遺伝因子に環境因子が加わることで発症します。 環境因子の中でも、特に大きな影響を及ぼすのが、食べすぎと運動不足による「肥満」です。 ふだんの食事量が多いと、常に多量のインスリンが分泌されます。 それが長く続くうちに、インスリンの効きが悪くなっていきます。 運動不足で、糖がエネルギーとして使われる量が少なければ、肥満が進み、血圧も上がります。


このように、高血圧と糖尿病は、背景や危険因子が似通っています。 そのため、両方を併せ持つ人が多いのです。 高血圧と糖尿病を合併していると、それだけ動脈硬化が進みやすく、心筋梗塞や脳卒中などの命にかかわる病気を発症する 危険性が高まります。したがって、高血圧のある人は、血糖値にも気を配り、血圧コントロールだけでなく、 血糖コントロールもしっかり行う必要があります。