利尿薬

古くから使われており、現在も効果が認められている降圧薬が、『利尿薬』です。 利尿薬は余分なナトリウムや水分を尿として排泄することで血圧を下げます。 お年寄りや、食塩の摂り過ぎが特に血圧に影響しやすい人に向いています。 他の降圧薬に、少量だけ追加して使うのが一般的です。


■利尿薬とは?

ナトリウムや水分を排泄し、血液量を減らして血圧を下げる

血圧が上がる原因に、食塩の摂り過ぎなどによる、体内のナトリウム量の増加があります。 体内のナトリウム量が多くなると、血液中のナトリウムの濃度を一定に保とうとして、 人間の体は水分を余計に取り込むようになります。その結果、体内を循環する血液の量が増えて、血圧が上がります。

●利尿薬の働き

血液に含まれたナトリウムや水分は、腎臓の「糸球体」という組織で濾過され、その大半が「尿細管」に流れていきます。 尿細管には「イオンチャネル」と呼ばれるものがあり、ここで大部分のナトリウムや カリウムが血液に再吸収され、心臓に戻されます。再吸収されなかったナトリウムは、水分とともに尿として排泄されます。 利尿薬はこのイオンチャネルに働きかけて、血圧を下げる薬です。 次の3つのタイプがあり、作用の仕方や強さなどが異なります。

◆サイアザイド系利尿薬

ナトリウムとカリウムのイオンチャネルに作用する薬で、現在、最もよく使われている利尿薬です。 ナトリウムの再吸収を抑えて血圧を下げますが、同時にカリウムの再吸収も抑えてしまいます。

◆ループ利尿薬

サイアザイド系利尿薬と同じく、ナトリウムとカリウムのイオンチャネルに作用する薬ですが、 より糸球体に近い部位で尿細管に働きかけるため、強力な利尿作用が得られます。 服用すると、短時間で尿量が増加します。 ただし、降圧薬として使用されるのは、「腎機能障害」「心不全」がある場合で、 通常はサイアザイド系利尿薬が用いられます。 ループ利尿薬は主に利尿作用を目的として用いる薬ですが、そのなかの「フロセミド」は腎機能が低下した高血圧の人に 用いられることがあります。

◆カリウム保持性利尿薬

カリウム保持性利尿薬は、尿細管や、尿細管の先にある「集合管」のナトリウムチャネルだけに作用します。 先述の2つの利尿薬は、カリウムの再吸収も抑えてしまいますが、カリウム保持性利尿薬では、カリウムを再吸収することが 可能です。カリウム保持性利尿薬の中には、「アルドステロン」というホルモンの作用を抑えてナトリウムの排泄を促す 「アルドステロン拮抗薬」というタイプもあります。 カリウム保持性利尿薬(アルドステロン拮抗薬)の「スピロノラクトン」や「トリアムテレン」は、 降圧作用はあまり高くありませんが、他の利尿薬によるカリウムの低下を防ぐために併用することがあります。 重い心不全の人も使える薬です。


■どんな人に使われるか

お年寄り、食塩の摂取が血圧に影響しやすい人など

利尿薬は、主にほかの薬と合わせて使います。特に、レニン・アンジオテンシン系抑制薬やカルシウム拮抗薬など、 血管を広げる薬とよく併用されます。利尿薬は値段が安く、降圧効果も認められています。 また、多量に使うと副作用が出やすいのですが、少量なら出にくいとされています。 そのため、少量の利尿薬を上手に治療に取り入れて降圧効果を高めよう、という流れが広まりつつあります。

利尿薬は、ナトリウムの排泄を促進するので、特に食塩の摂り過ぎによって起こる高血圧の治療に適しています。 若い人よりも、お年寄りの高血圧によく効きます。 一般にサイアザイド系利尿薬が使われることが多いのですが、腎機能障害を伴う高血圧や、心不全を合併している高血圧には、 ループ利尿薬が用いられます。カリウム保持性利尿薬は、カリウムが失われるのを防ぐために、サイアザイド系利尿薬と 併用されることが多くあります。

サイアザイド系利尿薬やループ利尿薬は、尿酸の代謝に影響しやすいため、原則として「痛風」のある人には使えません。 糖や脂質の代謝にも影響することがありますが、「糖尿病」や「高脂血症」があっても、少量であれば使うことができます。

●相互作用

利尿薬と、痛み止めとして使われる「非ステロイド性消炎鎮痛薬」を長期間併用すると、降圧効果が弱くなります。 関節痛や筋肉痛などで、非ステロイド性消炎鎮痛薬を長期にわたって服用する場合は、必ず医師に伝えましょう。