正常高値血圧に注意

血圧が少し高めの「正常高値血圧」は、高血圧ではないものの、状態によっては、命に関わる病気を引き起こす危険性があります。


■正常高値高血圧

少し高めの正常高値高血圧も、場合によっては治療対象に

臨床研究が進んで日本人を対象とした新しいデータが数多く蓄積されてきた結果、 高血圧と診断されるほどではないけれど、少し高めの血圧を放っておいたために、 命に関わるような病気を引き起こしてしまうケースが少なくないことが、わかってきました。 それを受けて、日本高血圧学会は、高血圧の標準的な治療法を示した「高血圧治療ガイドライン」を2009年1月に改訂しました。 この改訂によって、血圧の数値の見方が大きく変わったのです。

今回の改訂のポイントで、特徴的なのは、最大血圧130〜139ミリ、最小血圧85〜89ミリの状態を 「正常高値血圧」と定め、重篤な病気を招きやすい危険因子の有無や数によっては治療をすべきだと示したことです。 正常高値血圧は、正常範囲内でも少し高めの高血圧予備軍ともいうべき状態で、超軽症高血圧ともいえます。 この状態の人でも、メタボリック症候群などの危険因子を複数持っていれば、脳卒中や心筋梗塞を起こす危険度が 著しく高まることがわかったのです。 また、最大血圧が140ミリ以上、最小血圧が90ミリ以上の高血圧では、これまで数値によって、 軽症高血圧(最大血圧が140〜159ミリ、最小血圧が90〜99ミリ)、中等度高血圧(最大血圧が160〜179ミリ、 最小血圧が100〜109ミリ)、重症高血圧(最大血圧が180ミリ以上、最小血圧が110ミリ以上)の3種類に分類されていました。 しかし、軽症高血圧といえども危険因子の数によっては脳卒中や心筋梗塞の危険が非常に大きいため、 必ずしも軽症とは言えず、今回の改訂ではそれぞれT度高血圧、U度高血圧、V度高血圧と分類名が改められました。 さらに、今回の治療ガイドラインでは、血圧の数値に加え、危険因子の有無や数によって、 将来の脳卒中や心筋梗塞の危険度が低リスク・中等リスク・高リスクの3つに分類されています。


■血圧の値は総合的な判断が必要

正常高値血圧でも、脳や心臓などの病気を招くことも

血圧が高い状態が続くと、血管の壁が障害され、徐々に血管壁が硬く厚くなってきます。 この状態が「動脈硬化」です。 動脈硬化が進むと、血管が破れたり詰まったりしやすくなって、 「脳卒中」「心筋梗塞」などの心血管病や、「慢性腎臓病」などを招く危険性が高くなります。 また、血圧が高ければ高いほど、動脈硬化が進行しやすくなります。 ただし、高血圧は、これらの病気を引き起こす危険因子の一つに過ぎません。 ほかにも、「糖尿病」「慢性腎臓病」「高齢(65歳以上)」「喫煙」「肥満(特に腹部肥満)」「脂質異常症」 「メタボリックシンドローム」など、さまざまな危険因子があげられます。 これらの危険因子は血管に負担をかけて動脈硬化を進行させます。 そして、これらが重なるほど心血管病などを発症する危険度が高まります。 メタボリックシンドロームはすでに危険因子が重なった状態で、注意が必要です。

これらのことから、血圧の値は、高血圧以外の危険因子や、高血圧による臓器障害の程度や心血管病の合併の有無と併せ、 総合的に判断することが重要なのです。正常高値血圧でも、心血管病の危険因子が多い場合などは、血圧を下げる治療が必要です。

●正常高値血圧の場合の対処法

正常高値血圧では、危険因子の数で心血管病のリスクのレベル分けをし、それに応じて対処法を検討します。 具体的には、生活習慣の見直しに加えて、脂質異常症や糖尿病などの病気を治療して危険因子を取り除くほか、 必要に応じて降圧薬による治療を行います。 正常高値血圧あるいは高血圧のある人が、どの程度の値を目標に血圧を下げればよいのかは、 年齢やその人の持つ病気によって異なります。 過去に脳卒中を発症した人や高齢者では、動脈硬化で血管が硬くなっていることが多いので、 血圧を下げすぎると脳の血流が悪くなり、「めまい」や、場合によっては「脳梗塞」を起こすことがあります。 そのため、降圧目標値がやや高め(最大血圧が140ミリ、最小血圧が90ミリ未満)に設定されています。