DPA

今、新しい脂肪酸として、オメガ3系の『DPA』の働きが注目されています。 第一に、血管壁の内皮細胞(血管の内側を構成する細胞の層)の「遊走能」(血管壁の傷を修復し、 悪玉のLDLコレステロールの沈着を防ぐ働き)が、EPAの10倍も強力です。 DPAの働きによって内皮細胞の遊走能が高まれば、動脈硬化を防ぐ力も大きくなるわけです。 第二に、血管壁に付着する余分なコレステロールや中性脂肪を取り除き、動脈硬化を防ぐ働きが、EPAの10〜20倍も強力であると考えられます。 第三は、EPAの働きを活発にしてくれるということです。


■DPA

働きが注目される新しい脂肪酸

魚に含まれる油に動脈硬化を抑える働きがあることは、人を対象とした臨床試験でも確かめられています。 柳沢厚生杏林大学教授(当時)は、冠状動脈に硬化が起こっている患者さん17人に、魚油の豊富な青背の魚 (サバ、サンマ、イワシ、アジ、マグロ)と野菜が中心の食事を摂るとともに、40分以上の速足歩きを 週に3回実行してもらいました。すると、動脈硬化を起こして狭くなっていた冠状動脈の内腔が、 平均0.2mm広がっていたという結果を得ています。 動脈硬化の抑制に大きく寄与すると考えられるのは、魚油の中のEPAとDHAという脂肪酸。 EPAとDHAには、赤血球の膜の柔軟性を高め、細い血管でも楽に通過させる働きがあります。 さらに、EPAには、血管を柔軟にして血流改善を強力に促す働きや血栓ができるのを防いだり、 血液中のコレステロールや中性脂肪を減らしたりする働きもあります。

さらに最近になって、魚油の特効成分ともいえるEPAの働きをしのぐ、『DPA』と呼ばれる 新型脂肪酸が発見され話題になっています。 DPAは、EPAやDHAと同じn-3系不飽和脂肪酸の仲間です。 n-3系不飽和脂肪酸は、血液の粘り気を減らして流れやすくしたり、動脈硬化をはじめとする生活習慣病を防いだりする 働きが大きい脂肪酸です。そんなDPAが注目を集めだしたきっかけは、アラスカやグリーンランドなどの 北極圏で暮らすイヌイット(エスキモー)の食生活の調査でした。 イヌイットの人たちは、近海で獲れるアザラシやオットセイ、サケなどを主食にしていて、 野菜をほとんど食べません。それにもかかわらず、イヌイットの人たちの血液を調べてみると、 コレステロール値や中性脂肪値は正常だったのです。 しかも動脈硬化も見られず、心臓病や脳卒中による死亡率も、極めて低く抑えられていました。 その理由が、研究によってわかってきました。魚油の中のEPAやDHAのほかに、 アザラシなどの海獣に多く含まれているDPAの働きが大きく影響している可能性が浮上したのです。